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ICBL「地雷モニター・レポート2000」の注目点

LM REPORT 2000, KEY FINDINGS
2000年9月10日 翻訳 北川 泰弘(JCBL代表)

 1997年のノーベル平和賞受賞団体であるICBL(地雷禁止国際キャンペーン)は、2000年9月7日(木)に、11日(月)からジュネーブで開始されるオタワ条約締約国会議に向けて「地雷モニター・レポート2000、地雷のない世界に向けて」を発表しました。

 これはレポート1999に続く第2号で、1,115ページの地雷問題についての先導的な報告書です。対人地雷の使用、生産、移譲、備蓄の全面禁止と、人道的地雷除去、被害者の援助について最も総合的に述べています。65ページのエグゼブティブ・サマリイ(報告書要約)も同時に発表されました。これらの報告書は締約国会議に出席する各国政府、国際機関、NGOの代表に配布されます。

 この報告書はコア・グループと呼ばれる5つの市民団体が中心になり、95ヶ国からの115人のLMリサーチャーが広く、種々の情報やデーターを系統的に集め、解析して綜合報告書としてまとめたものです。日本からは「難民を助ける会」の長(おさ)有紀枝氏、「地雷廃絶日本キャンペーン、JCBL」の大島義幸氏の2名がLMリサーチャーとして参加しました。

このレポートの注目点

1. 対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)に参加し実行している国の数が増加した。138ヶ国が調印し、その中で101ヶ国が批准した。これは世界の国の約3分の2である。

2. この数年の武器の使用が減少した。

3. 対人地雷の生産量が劇的に減少した。(生産者数が54から16となった)

4. 対人地雷の商取引が完全に停止された。(1999-2000期間中は一件の船積みも認められなかった。

5. 対人地雷が廃棄される数量が増加した。(50ヶ国で2200万個が廃棄された。この内1000万個はオタワ条約が効力を発生した1999年3月以降に廃棄された)

6. 人道的地雷対策への援助費が増加した。(1999年だけで2億1100万ドル、1998年より33%を超える増加率であった。)

7. 主な地雷被害国(アフガニスタン、ボスニア・ヘルツエゴビナ、カンボジア、モザンビーク)における地雷被害者数が減少した。

8. 地雷の除去が進んだ。(1999年中に、7大・地雷/不発弾除去プロジェクトで1億6800万平方メートル以上の土地から地雷/不発弾が除去された。

1999年3月にオタワ条約発効以降の、その他の重要事項

1. LMリサーチャーによる調査結果によると、地雷/不発弾により何らかの被害を受けている国の数は、これまでの推定数を上回り88ヶ国であった。

2. 1999年3月以降に地雷/不発弾により新たに被害者が出た国数は71ヶ国であった。その半分以上の39ヶ国は戦争のない平和な国であった。この期間中に最も被害者が多かったのは、アフガニスタン、カンボジア、および、驚くべきことにビルマであった。アンゴラ、チェチニア、コソボにもかなりの数の被害者が出た。

3. 41ヶ国で何らかの組織化された人道的地雷除去プログラムが進行中である。24ヶ国で、組織的な地雷除去の前提となる、現地調査と評価が行われた。世界最初のLevel One Impact Surveyが完了したのはイエーメン1ヶ国だけで2000年7月に完了した。

4. LMリサーチャーは、オタワ条約の締約国の中で主要禁止項目の、対人地雷の使用、生産、移譲を犯した国があったという信頼すべき証拠を得ていない。

5. 1999年3月のオタワ条約発効以降2000年半ばまでの期間に11ヶ国の政府と30の非政府武装勢力の間の20の戦闘で新たに対人地雷が使用されたと認められる

6. 1999年3月以来の次の3つの戦闘で対人地雷が使用された。

(1) チェチニア:ロシア軍とチェチェン武装勢力が使用。
(2) フィリッピン:3つの武装勢力が使用。
(3) カシミール:パキスタンが援助する武装勢力と、伝聞によればパキスタン軍が使用。

7. 1999年3月以来、最も多く地雷が使用された戦闘:

(1) チェチニアで:特にロシア軍による使用。
(2) コソボで:先ずユーゴ軍が使用し、コソボ解放軍も使用した。現在も地雷の使用が続いているコソボに於ける人道的地雷除去が対応しなければならない対象として、地雷の他に、1999年にNATO空軍が落としたクラスター爆弾のボンブレット(子爆弾)が15,000個以上ある。これら、オタワ条約未調印国によるたった2つの戦闘で使用された地雷の数は、前年のLMモニター1999の対象期間の全使用数位を上回る。

8. 対人地雷を現在使用中、或いは従前以上に使用中であるのは:

(1) ビルマ : 政府軍と少なくとも10の非政府武装勢力の間の戦闘
(2) スリランカ : 政府軍と非政府武装勢力
(3) ネパール : マオイスト勢力
(4) アフガニスタン : 反政府軍
(5) アンゴラ : 政府軍と反政府軍
(6) コンゴ民主共和国 : 政府軍と反政府軍
(7) エリトリア・エチオピエア国境 : エリトリア軍
(8) セネガル : 反政府軍
(9) ウガンダ : 反政府軍
(10) ソマリア : 色々なグループ
(11) コロンビア : 反政府軍
(12) 南レバノン : イスラエルと非政府武装勢力
(13) グルジア : 非政府武装勢力
(14) トルコ : 北イラクと反政府軍

※ 確認されていないが、引き続きこの期間中に新たに地雷を使用してオタワ条約を破った締約国は3ヶ国で、ルワンダ、ウガンダ、およびコンゴ民主共和国の複雑な地域闘争で地雷を使用したジムバブエであった。

9. 1999年3月以来、29ヶ国が調印したが、この内批准したのはたった3ヶ国(タジキスタン、リベリア、ナウル)だけである。

10. LMモニター・リサーチャーの推定では世界の105ヶ国の武器庫に2億5000万個の対人地雷がある。最大の中国の1億1000万個を筆頭に、ロシア6000万―7000万個、ベルラーシュ1000万-1500万個、米国1100万個、ウクライナ1000万個、パキスタン600万個、インド400-500万個である。

11. オタワ条約締約国の21ヶ国が保有地雷を完全に廃棄した。他の24ヶ国は廃棄中である。17ヶ国は4年以内に廃棄しなければならないのにまだ廃棄を開始していない。